女性の活躍の取組にも、細かく段階があります。1985年に男女雇用機会均等法が制定される前は、女性が男性と同等に働ける環境はごく限られており社会から「排除」されていました。均等法制定後、女性の採用も少しずつ増えましたが、育児休職など女性特有のライフイベントは考慮されず、いわゆる男性的働き方への「同化」を求められていました。まだ多くの日本企業がこの段階と言われています。その次はワークライフバランスの考えも浸透し、男女が対等な「多様性尊重」の段階です。徐々にこの段階に行く企業も増えつつあります。しかし「働きやすさ」を追求したこの段階がゴールではありません。組織が経営戦略として従業員一人ひとりの力を発揮させるには、そこからさらに女性視点の活用「分離」やそれらを全社の価値に変える「統合」という状態こそ、これからの組織に求められている在り方です。
本サイトでは、中小企業における女性活躍の具体的な課題を人材育成の5つの段階に分け、それぞれのポイントとともに取組の具体的な事例を紹介していきます。 「人材」に関わる取組には即効性はありません。しかし、女性活躍をきっかけに、トップ自らが職場組織全体の活性化に取り組むことで、コミュニケーションが活性化し、少しずつ組織の基盤が固まり、女性をはじめ従業員一人ひとりが力を発揮する組織に変わっていきます。この地道な取組が、中長期的に企業の業績に大きく貢献することは言うまでもありません。
職場組織の課題は、業種業態やそれまでの経緯もありさまざまですが、本サイトの事例の中から、少しでも自社の職場組織に取り入れられるものを見つけ、 「女性活躍推進」の取組の第一歩を始める企業が増えれば幸いです。