女性の活躍推進に取り組みたいけど、「何から始めていいか分からない」、「どうしたらいいか分からない」。
そのような企業の皆さんに役立つ、女性活躍の具体的な進め方や進め方のポイントを紹介します。
女性活躍推進の第一歩は、会社の現状把握です。
数値だけではなく、従業員へのアンケートやヒアリングを行うことで、従業員の"生の声"を集めましょう。
数値には表れない従業員の声に、課題解決のヒントが詰まっています。
次に、「1」で把握した現状を分析し、会社の解決すべき課題の方向性を探りましょう。
- 現状① -採用者に占める女性従業員の割合が低い
採用が課題ではありませんか?
- 現状② -男性従業員に比べ、
女性従業員の平均継続勤務年数が短い
就業継続が課題ではありませんか?
- 現状③ -管理職に占める女性従業員の割合が低い
配置・育成・登用が課題ではありませんか?
「2」で見えてきた課題をさらに踏み込んで分析を行い、取組内容を決定し、実際に実施していきましょう。
<解決すべき課題>
人手不足に悩む中、特に女性からの応募が少ないことが判明。
人材の確保に向けて、女性の応募を増やし、採用を行っていきたい。
会社案内やホームページで、社内で活躍する女性や女性活躍に関する取組を紹介する。
転勤が必須などの女性が満たしにくいと考えられる勤務条件を見直す。
「仕事に対する熱意」など、性別によらない採用選考基準を新たに設ける。さらに、研修などを通して、面接担当者に新たな選考基準や性別によるバイアスの排除を浸透させる。
業務上体力的に負担の大きい仕事が切り離せず、女性が働きにくい職場だと決めつけていた。人手不足に悩んでおり、性別に関わらず、人材確保を行っていきたい。
業務内容を洗い出し、業務を一つ一つの作業に細かく分解する。
分解した作業の中から、体力的に負担の少ない作業を抜き出し、その作業に専念するグループを新設する。
募集に当たって、子育て等で時間に制約のある人でも応募できるように、勤務時間等を柔軟に設定して募集を行う。
<解決すべき課題>
仕事と子育ての両立に不安を抱える従業員が多く、出産・子育てを機に女性従業員が退職する傾向にあり、人材の定着が課題となっていた。
育児や介護、その他様々な事情をお互いが尊重できるよう意識改革に向けた研修を行う。
仕事と子育ての両立制度を再確認し、短時間勤務制度や在宅勤務制度など必要に応じて制度の新設や拡充を行う。
利用可能な各制度をまとめたリーフレットを作成し、従業員や管理職に配布し、制度の周知を行う。
複数担当制や「多能工(マルチスキル)化」などを進める。
長時間労働が慢性化しており、休暇の取得率も低い。このことから従業員のモチベーションが低く、離職率が高いことが課題であった。
長時間労働の見直しに向けて、全社的に「ノー残業デー」を設定する。
業務の洗い出しを行い、ムダな業務や作業をなくしていく。
複数担当制や「多能工(マルチスキル)化」を進める。
生産性を重視した人事評価制度など、効率的な業務を評価する制度づくりを行う。
<解決すべき課題>
将来管理職候補になる女性の育成ができていない。その要因として、男女で業務担当に暗黙の違いがあり、さらに研修の機会も性別で違いがあることが分かった。
営業部門や企画部門など、男性中心であった職域へ女性の配置を行う。
業務内容に関する研修やキャリアアップに関する研修の機会を性別に関わらず均等に提供する。
生産性を重視した人事評価など公正な人事評価の手法を導入する。
昇進の必須要件として、転勤経験など、女性が満たしにくい条件があれば見直しを行う。
女性従業員自身が、将来管理職として働くイメージを持てていないことから、管理職を希望する女性がいない。
女性従業員等を対象に意識改革とキャリア形成支援を目的とした研修を行う。
女性従業員に対し、自社で活躍する女性管理職をロールモデルとして提示する。
社内の女性従業員同士や女性従業員と女性管理職が交流できる研修会や交流会を設ける。
外部研修や他社との交流会に参加させる。
経営トップ自らがリーダーシップを発揮し、女性活躍推進に取り組む方針を社内全体に明確に示すことで、会社全体の目標として共有化され、より効果的で継続的な取組になります。
女性の活躍推進に向けて解決すべき課題は、短期的に改善できるものだけでなく、長期的に取り組むべきものもあり、一部の部署だけでは困難な場合もあります。取組に応じて実施体制を工夫することで、効果的な取組につなげることができます。
※福岡県では、女性活躍推進のため無料の専門家派遣事業等を行っています。詳しくはこちらをご参照ください。
会社の現状を把握し、取り組むべき課題が複数見つかった場合は、課題に優先順位をつけましょう。各課題は、独立したものではなく、お互いに関連のあるものも多いため、ある課題解決の取組が他の課題に好影響をもたらすこともあります。
課題1:就業継続が課題
取組:仕事と子育ての両立支援制度を拡充
効果:子育てを理由とする離職減
課題2:新たに採用ができず、人材不足に悩んでいる。
離職率の低下