抱えていた課題

美容師の勤務時間は長く、営業時間外にも技術トレーニングが行われていました。過酷な労働環境のため、女性従業員の7割は結婚や出産を機に辞めていました。

取組とその成果

午後5時閉店で、仕事と家庭を両立
 北九州市内で美容室4店舗を経営する『セレーノ』。長時間で不規則な勤務が当たり前だった業界の常識を打破し、営業時間を8時半から17時までに設定している。技術トレーニングやミーティングも勤務時間内に行い、全社研修のときは店舗営業を午前中で終了する。年金や保険を完備し、さらに健康診断に加え、乳がん・子宮がん検診も会社負担で実施するなど、福利厚生面のサポート体制を整えている。
 元美容師の再就職が増え、従業員からは「リフレッシュして気持ちよく働ける」「ちゃんと家事ができるようになった」「早寝早起きが習慣になった」と好評だ。集中して働く意識が高まって生産性も向上し、やりがいを持って就業継続ができている。
全員が主役のチームづくり
セレーノ株式会社
 通常、会社の”ボス “は社長であるが、『セレーノ』では、「スタッフが幸せに働き、お客さまに喜ばれるために」という経営ビジョンを会社の”ボス “と考え、オープンでフラットな組織づくりを進めている。正規従業員、パートという区別はせず、全従業員を「キャスト」と呼び、等級と級ごとの役割を明確にしている。店長職は設けず、ベテラン従業員がリーダー役を担う。
 会社の財務状態も”見える化 “し、全員が経営勉強会に参加。技術トレーニングや会議、店舗巡回も毎月全員で実施している。社長面談を年4回行い、勤務形態の希望を確認して全社で情報を共有している。感謝の言葉を書いて渡す「サンキューカード」も導入。伝え合う関係を大切に、切磋琢磨できる環境を育んでいる。

トップの思いを伺いました

代表取締役 宮 大輔氏
私はブライダル業界を経て、父が経営する美容室でマネージャーとして勤めていました。当時の従業員から「自分の子どもは美容業界で働かせたくない」と言われたことが一番ショックでしたね。みんなが幸せに働ける職場を実現したいと、現在のチームづくりを行っています。これからも働きやすい職場環境を整え、お客さまに喜ばれるサービスを提供してまいります。

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