抱えていた課題

 人手不足が顕著な建設業界で、求人を出しても、応募がない状況でした。また、環境の変化に対応していくためにも新たな視点が必要だと考えました。

取組とその成果

初の女性電気工事士の誕生
 地場企業の工場ラインなどを中心に、幅広く電気工事を手掛ける異島電設。建設業界全体に「人手不足」という課題が広がる中、同社でも採用が課題となっていた。
 こうした状況の中、ハローワークを通じて、一人の女性から電気工事士への応募があった。当時、同社は女性の電気工事士を採用したことがなく、働いてもらう上で休憩室やトイレなど設備の面が心配されたが、本人の意志もあり採用に至った。
 この採用をきっかけに、女性用の休憩室の整備を進めた。このことは、今後の女性採用に向けた環境整備にもつながっている。また、女性が現場にいることは、周囲へ与える影響も大きく、現場の雰囲気が明るく、物腰も柔らかくなるといった効果も出ている。そして何よりも、同社にとっては、性別ではなく本人の特性を見ての採用・配置を行うことの大切さに気付く出来事だったそうだ。
 現在、この女性は、電気工事士として同社になくてはならない戦力となっている。本人も、「現場では体力の必要な作業もあるが、周囲のフォローがあり、楽しく仕事ができている」と積極的に仕事に取り組めている様子だ。
職場のイメージ
職場のイメージ
“女性人材”が会社に変化をもたらす
 同社では、日々の業務が習慣化し、会社内に“変化”がないことに危機感を感じていた。そこで、業務での関わりなどから他社の事例に詳しい女性社員を総務係長に登用。同社にとっては、初の女性管理職登用であった。この登用により、事務所と現場間のコミュニケーションが活性化し、そのことによる新たな気付きが生まれた。例えば、現場作業員用の飲み物をより利用しやすくするなど、ともすれば見過ごしてしまいがちな現場の声をすくい上げ、着実に変化や改善を生み出している。
 また、女性役員の「外部との関わりを持ち、視野を広げてほしい」という強い想いから、行政が主催する外部研修制度を活用するなど、女性を単にポストに就けるだけではなくその後の育成にも取り組んでおり、企業トップの理解が取組を押し進めている。
 さらに、子どもを連れた出勤を認めるほか、時間単位の年休取得を認め、子どもの学校行事や看病等に活用しやすくしている。また、作業現場で毎朝の健康チェックや、定期健康診断受診後の治療の徹底に加え、社員とその家族に対してインフルエンザ予防注射の補助を行うなど、社員の健康管理にも力を入れている。このほか、最近では他団体主催のスポーツ大会に参加するなど、社員の一体感や活力の向上、ひいては働きやすい職場づくりにつなげている。

トップの思いを伺いました

代表取締役 異島 洋 氏
代表取締役 異島 洋 氏
 人手不足の建設業界の中でも特に人材の確保と定着は大きな課題です。そのような中、女性電気工事士の採用は、働き方の多様化にもつながるものと大いに期待しています。
 また、「北九州市ワークライフバランス奨励賞」や「健康経営優良法人」に認定されたことを、更なる職場環境形成に反映させるとともに、企業のアピールポイントとして活用して人材不足の解消に繋げていきたいと考えています

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