抱えていた課題

 携帯電話販売事業への参入を契機に、女性社員の割合が増加。販売店の人材育成には時間を要するため、育てた人材が出産・子育てを機に退職してしまうのはもったいないと考えました。

取組とその成果

仕事と子育ての両立に向けて
 産業機器の卸売業や自動車部品の製造販売などを行う株式会社紀之国屋。1994年に、携帯電話の販売事業へ参入するにあたり、「接客業には女性の力は不可欠」と女性社員を意識的に採用、配置した。この業務は、日々商品が変化していく中で、機種情報は勿論のこと、高度な知識・ノウハウが求められるものであり、それを熟知する女性社員が出産・子育てを機に退職していくのは、会社の損失だと考えた。
 そこで、いち早く、福岡県の「子育て応援宣言企業」に登録し、経営トップの思いを会社内外に向けて表明。この宣言は、令和2年12月時点で約7,400社あるうちの27番目の登録であった。そして具体的に仕事と子育ての両立支援に取り組んだ。数ある取組の一つに、育児休業中の代替職員の早期確保が挙げられる。育児休業取得が分かった時点から、代替職員の確保に着手し、業務の引継・育成期間を設けることで、気兼ねなく安心して育児休業を取得できる環境を整備している。なお、この代替職員は正社員として雇用しており、育児休業者が復帰した後でも、店舗間の配置やシフトの組み方を工夫することで、継続して働ける環境を作っている。
 さらに、育児休業から復帰する場合、フルタイムで働くことが難しい社員には、パート社員として復帰する方法も整備し、復帰者に対して選択肢を広げている。また、一旦パート社員として復帰した場合でも、本人が希望すれば、正社員への転換も可能だ。
 こうした取組を行うことで、子育てをしながらでも働きやすい会社というイメージが定着。職員募集の際にも、求職者からの反響が大きいという。
職場のイメージ
能力を信じて女性を登用
 携帯電話販売を行う情報通信部門では、統括する部長職、課長職、そして運営する販売店2店舗の店長すべてを女性が担っている。このうち、部長職に関しては、仕入れ先との折衝や18名(パート含)いる部全体のマネジメントなど、幅広く多岐にわたる業務を担当している。前任の男性部長が退職した際、外部人材も含めて後任人事を検討したが、これまでの店舗での経験や、全体を見渡せるマネジメント力を信じて、当時店長であった女性を部長へ登用した。さらにこの登用と併せて、部長を補佐する課長職を新設し、ここにも当時店長であった別の女性を登用した。こうすることで、管理職一人に対する役割や業務内容を分散し、個々の負担軽減を図っている。
 今後の課題としては、現在の管理職に続く管理職候補者の育成であり、キャリアの段階に応じた意識改革研修などを検討中だ。

トップの思いを伺いました

代表取締役社長 中村 大志 氏
代表取締役社長 中村 大志 氏
 男女を問わず、適材適所で能力ある人が責任を持って役割を担える環境を整えていくことが大事だと考えています。これからも、お客様、仕入先様、紀之国屋の社員、三者それぞれの充実を目指し、社員の声に耳を傾けて、できる限りの対応を行っていきたい。

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