抱えていた課題

 少子化が進み人口減少社会にある中、業界全体のイメージもあり、人手不足が課題となっていました。

取組とその成果

施設利用者目線での業務の洗い出し
 北九州を拠点に、地域密着型でグループホーム・小規模多機能ホーム等を6施設運営する株式会社プロデュース。少子高齢化社会で人口減少が進む中、“大変な仕事”と求職者から敬遠されがちな介護業界にあり、求人をしても、年々応募が減り、人手不足に悩んでいた。
 また、各施設の運営にあたっては、介護資格を保有する職員が専門的な介護業務に加え、掃除や洗濯、調理など生活に関係する業務も行っていた。それは、入居者が自宅で生活しているかのような居心地を提供することにこだわり、職員も、こうした業務を「全て自分ですべきもの」という思いがあったためだ。その一方、個々の職員の負担も高まっていた。
 人手不足であるにも関わらず、業務負担は重く、さらに人手が集まらないという悪循環の中、ある施設において、施設管理者を中心に「施設の利用者の視点に立ち、本当に介護資格を持った人が全ての業務を行う必要があるのか」の視点から業務改善が進められた。その施設では、まず、一つ一つの業務の洗い出しを行った。そこで分かったのが、掃除・洗濯・調理などの家事関連業務に、介護資格を持った職員が一日あたり8時間も従事していることだった。
職場風景
業務を切り分け、人手不足を解消
 洗い出しの結果、介護資格を保有する職員がすべき業務とそうでない業務に切り分け、そうでない業務(掃除や洗濯、料理等)について、新たに求人を開始した。一日当たり二時間程度でも勤務可能なため、「フルタイム勤務は難しいが短時間なら働きたい」、「家事を仕事にできるなら働きたい」という声に応えることが可能となった。この結果、地域の女性や高齢者などを雇用でき、人手不足の解消につながっている。さらに、これまでフルタイム勤務だったが、子育て等の事情でフルタイム勤務は難しいという職員が、一旦この勤務体系になり、条件が整えばフルタイム勤務へ復帰するといった、柔軟な勤務体系にもつながっている。以前の業務内容に慣れた職員自身の「自分がしなければ」という固定観念を変えることへの苦労はあったものの、取組を進めていく中で次第に業務分担が浸透していった。 
 運営する6つの施設では、各施設管理者が権限を持ち自主的に運営しており、こうした改善につながっている。この事例は一つの施設の取組であったが、定期的に開催される管理者会議で共有され、他の各施設にも展開されている。
 他にも、経営者の「周囲の人にいい影響を与える人間になってほしい」という思いから、性別に関わらず、職員を、自社研修や行政等が行う外部研修に参加させるなどして、人材育成にも力を入れている。

トップの思いを伺いました

代表取締役 中原 亜希子氏
 現在、日本の高齢化は世界でも例のないぐらいのスピードで進んでおり、この高齢社会を支える介護業界は、世界に誇れる仕事だと考えています。この業界で働く人たちが誇りを持って働けるように、次世代を担う学生を対象とした職場体験に取り組むなどして、この仕事の素晴らしさを少しでも多くの人に伝えていきたい。

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