抱えていた課題

 保育の仕事は、保育業務以外にも行事の準備や事務作業など多くの業務に加え、保護者の方との信頼関係の構築や、大切な命を預かる、成長をサポートするという重責があり、体力的・心理的にも負担の大きい仕事ですが、職場環境を少しでも良くしたいと考えていました。

取組とその成果

起業から事業所内保育園設立まで
 県内で保育施設を運営しているオフィス・ツーワン。当時の労働省主催の、女性の起業支援講座に参加したことが起業のきっかけだった。自身の子育ての経験から、子どもを育て、教育することの素晴らしさを実感していた髙橋氏。講座に参加していた同じ思いを抱えた6人の主婦と共に保育事業をスタートさせた。その後、資金繰り等に苦労しながらも、事業規模を拡大し、平成27年には「認定こども園」となり、経営基盤を強化させた。
 また、事業規模拡大とともに、従業員から子どもを預けたいという声が高まり、「企業主導型保育事業」を活用した事業所内保育所を開設した。事業所内に保育施設ができたことで、職員親子がともに落ち着いて過ごせる環境が提供でき、従業員の勤務環境の改善に寄与している。
就業継続のための様々な取組
職場風景
 オフィス・ツーワンが運営する保育施設は、様々な取組により、他園と比べて離職率が低く抑えられている。
 まず、心理学や心理カウンセリングの手法を取り入れて、それが子ども・保護者への対応や、更には職員間の関係性でも有効に働いているという。心理カウンセラーの職員を中心とした園内での自主研修や、レポートの提出など一定条件を満たすことでの金銭的な補助など積極的に取り組んでいる。
 次に、時間管理の徹底である。曖昧になりがちな保育士の休憩時間をシフトで見える化し、始業時に確認することで確実に休憩時間を確保できる体制を整えている。また、報告書や連絡帳の記入といった事務時間を保育時間と切り離して確保し、保育士の負担を軽減している。
 人事評価項目を従業員同士で話し合いのうえ設定するなど、従業員が自主的に働くための工夫も行っている。話し合いを行うことで、自分達に足りないこと、求められていることが整理することができるうえ、自らが決めた項目で評価されるということで、人事評価の納得感も得られやすいという。
 他にも、素早く情報共有を行えるようにするためインカムの導入や、子ども同士の喧嘩によるケガや持ち物の紛失などが発生した際に映像で事実を確認することが出来るようにするため監視カメラの導入等、ハード面でも設備投資を行い保育士の負担を軽減させている。これらの機器導入には当初反対意見もあったが、試験的に導入した結果、好意的な意見が多く本運用するに至った。
 このように従業員のモチベーションを高めつつ、あらゆる取組で働きやすい職場環境づくりを行い、就業継続へとつなげている。

 

トップの思いを伺いました

代表理事 髙橋由紀氏
代表理事 髙橋由紀氏
 私たちは、「子ども」と「子どもにかかわるすべての人達」(保護者の皆さん・働く職員・地域の人々)の、豊かな人生の実現をサポートします。 
 これは企業組合オフィス・ツーワンの経営理念です。
 ここでいう「豊かさ」とは、ただ単に経済的にというわけではなく、人間関係やこころ、思考力や知識、経験体験など様々な物をさしています。これから長い長い人生を生きていくこども達が、当組合の保育・教育を通して、人格形成の基礎となる「心と体と頭」がすくすく育ち、心豊かに人生を歩んでいけるよう邁進していきます。

一覧へ戻る