抱えていた課題

 一般的に勤務環境が厳しいといわれる住宅業界において、同社も例外ではなく、離職率が高いことが課題でした。

取組とその成果

営業スタイル変革の挑戦
 福岡、佐賀で注文住宅「ユニバーサルホーム」の設計、施工、販売、アフターメンテナンス等を行う株式会社コスモス。住宅業界は勤務環境が厳しいと言われており、同社も長時間労働が慣行となっており、離職率が高いことが課題であった。新卒で7~8名採用しても、1年後には半数、3年後には1人残っているかどうかというような状況であった。採用コストが無駄に発生し、人材を育てることも出来ないこの悪循環を断ち切るために、約15年前に営業スタイルの変革による職場環境の改善に乗り出した。
 まず、同社が創業から実施していた顧客宅への訪問型営業を見直し、モデルルームへ来場した顧客に対して営業を行うスタイルへ変革した。これにより、平日は見積もりや図面書きなどの事務作業を行い、土日は顧客と打合せを行う等、従業員が主体的に時間をコントロールできるようになった。「従来のやり方を変えることは勇気が必要だった。しかし、従業員1人1人の声に耳を傾けたという自負があったし、必ず良くなると信じていた」と変革の中心人物であった執行役員の渡辺氏。実際、顧客が減ることもなく、むしろ自宅に来てほしくないという声を拾い上げることができた。
 また、従来はマンツーマンで顧客を担当していたが、2人1組で担当するチーム制を導入した。これにより情報が属人化せず、組織で共有できるようになり、休暇も取りやすくなった。チームを編成する際には、性別・年齢関係なく人選を行っている。先輩・後輩で一緒に仕事を行い、互いに刺激しあうことで、スキル向上にも役立っているという。
 このような取組を進めたことで、定着率が高まっただけではなく、社内で働き方改革に対する機運も高まり、完全週休2日制の徹底や、育休を取得する従業員も多数出てくるなど、男女ともに働きやすい会社へと大きく変化した。営業職の約半数は女性であり、子育て中の女性もいるという。子育て中の女性営業職員は日祝日を休暇にするなど、個人に応じた配慮を行っている。
組織風土改革はコツコツと
職場風景
 制度を整備するだけではなく、従業員の意識改革にも同社は積極的に取り組んでいる。”自分事”として捉えさせるために、大人数ではなく少人数で、「働き方」や「多様性尊重」に関する研修や勉強会を頻繁に行っているという。また、3年程前から、他社と合同での研修会を年に2~3回開催し、他社の従業員と意見を交わすことで、新しい視点を得る機会も提供している。
 「男女問わずイキイキと働き続けるためには、他者を認め合う組織風土が大切だが、組織風土改革は一朝一夕で効果が出るものではない。10年先を見通し、時代に沿った会社となれるよう、取り組んできた結果が出てきていると実感している」と渡辺氏は語った。

トップの思いを伺いました

取締役 執行役員 渡辺 年紹氏
 人は、人の為に一生懸命考動し「ありがとう」と言われると、とても嬉しくなります。その「ありがとう」が仕事を通して沢山のお客様に頂ける様に、そして自分自身が人間的成長をする事が大事です。その結果として利益を生む事が出来ます。しかし、利益はあくまで、社員とその家族、そしてお客様を守る手段です。沢山の「ありがとう」をもらう事が出来れば会社の永続に繋がります。従業員にもそのような考えに基づいて教育を行っています。
 人の能力は環境によっていくらでも伸びます。会社側はその環境を整える責務があります。男女関係なく、従業員が個人の力を最大限発揮できるような職場づくりを今後も継続していきます。

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