抱えていた課題
若手技術者を育成し、次世代の建設業を支える人材を育てていきたいと考えていました。
取組とその成果
平成24年九州北部豪雨災害をきっかけに女性活躍の取組みが始まった
みやま市に本社を持つ総合土木建設企業の河建。女性活躍の取組みのきっかけは、平成24年に北部九州を襲った豪雨災害であった。矢部川の河川堤防が決壊し、24時間体制で災害復旧対応にあたっていた同社。建設業が担う役割の重要性を改めて認識し、総務や経理など事務所での業務を中心に行っていた女性達が「自分達も現場に出て地域を守る力になりたい」と声をあげたことが、女性技術者の育成につながった。
そのため、積極的に行っているのが、ICT技術の導入だ。測量・設計から、施工・管理に至る全てのプロセスにおいて、ICT技術を取り入れ、女性も活躍できる建設現場を目指している。例えば、3次元設計データをショベルカー等の建機にセットアップすることで、オペレーターの熟練度に左右されることなく、確実な施工が出来るようになった。このことで、重機作業のハードルが低くなり、女性のショベルカー運転技能者が誕生した。ロールモデルの存在により、若手女性も免許資格を目指すなど、人材育成にもつながっている。ICT技術の導入は、工期の短縮や週休2日の実現など、働き方改革の面でも効果が出ている。
また、女性が現場に進出することで、女性の視点も加えた現場運営が出来るようになった。従来の「安全」という視点に加えて、女性が現場に入ることで「衛生」の視点がプラスされた。除菌シートやアルコール消毒などはコロナ禍の前から導入しており、コロナ禍でも慌てることなく対応ができたという。
女性社員の積極的な採用
同社では、女性の採用も積極的に行っており、2年連続で女性の新入社員が入社している。中高生を対象としたインターンシップに力を入れており、ICT技術の体験や職場の雰囲気を感じてもらうことで、雇用に繋げている。募集の対象も、土木科だけではなく、普通科や電気情報科などの学科の生徒も対象として呼び掛けることで、優秀な人材の確保を行っている。インターンシップを経て、実際に入社した普通科出身の女性の新入社員は「土木のことは詳しく知らなかったが、インターンシップで体験したICT技術が興味深く、ICT技術を活用した工事に携わりたいと思って入社を決めました」と話した。入社してから、土木の基礎やICT技術のことを学び、今では大きな戦力になっている。
同社の女性活躍やICT技術の活用を牽引している河野理恵さんは「今後は女性だけの工事現場を実現することが目標です。また、私たちの活動をもっと多くの人に伝え、たくさんの女性に関心を持ってもらえるよう、情報発信を続けていきたいです」と抱負を語った。
トップの思いを伺いました
弊社が取り組んでいる女性の活躍推進は、未来につながる1歩だと信じています。女性たちが明るく元気に働いている姿はとても素晴らしく、周りの者が応援したくなるパワーを秘めており、現場を活気づけてくれています。
女性の感性が反映された現場は、「安全面・衛生面・環境面」において、細部への気遣いと思いやりが感じられ、みんなが気持ちよく働ける現場であると感じています。
インターンシップにも力を入れており、是非色んな方に弊社の仕事や仕事環境を見て頂きたいです。