「女性/男性はこうあるべき」等のこだわりが強すぎると無意識のうちに選択肢を狭めてしまい、従業員が自分の能力や個性に合わせた選択がしづらくなります。
「○○さんはこうだ」等のレッテル貼り、決めつけは人間関係に悪影響を及ぼします。また、お互いの解釈のずれがハラスメントのリスクにつながります。
属性と役割が無意識に結びつくと、適材適所の配置や異動が難しくなります。人材の同質性の高まりは、意思決定の際の見落としを生むなどのリスクも指摘されています。
多様な顧客ニーズや社会の常識と、社内の常識がずれることで、信頼関係への悪影響や、偏った情報発信による炎上を引き起こす可能性が生じます。
多様性を重視する次世代や投資家にとって、同質性を重んじる組織や閉鎖的な意思決定文化を持つ組織は、魅力的な組織と見なされにくくなっています。
自社の常識に強くこだわることで、多様な価値観や発想が歓迎されにくくなり、企業間での共創・協働が難しくなります。
アンコンシャス・バイアスは誰しも持っているものなので、なくすことはできません。ただし、アンコンシャス・バイアスの存在を理解して、判断のタイミングを意識的にコントロールしたり、バイアスがあることを前提に、コミュニケーションや行動をデザインしたりすることで、バイアスの影響を少なくすることが可能です。
個人でできることが、意思決定の「観察と意識化」です。自分がどんなときにバイアスに無自覚になってしまうのか、振り返ってみましょう。また、意思決定や発言をする前に、一度ブレーキをふむ意識をもつ、他に選択肢はないか考える、バイアスを上書きするような体験を増やすことを心がけましょう。
自分のバイアスを意識化できるのは、意思決定時の1割以下という専門家もいます。そのため、周囲の人から指摘してもらえる関係性を築くことが肝要です。オープンなコミュニケーション環境を整え、「対話」の機会を増やすと、バイアスを乗り越えて相互理解を深めやすくなります。
意思決定やコミュニケーションを意識しても、バイアスの影響を取り除くには限界があります。そこで注目されているのが、行動経済学の知見を活かした行動デザインです。無意識のバイアスがあることを前提に仕組みを作る考え方は、ビジネスのみならず、社会課題の解決にも応用されています。