アンコンシャス・バイアスがもたらす影響 コントロールのヒント

アンコンシャス・バイアスがもたらす影響とは

  • 組織の内部への影響

    ➀人生や仕事における自己決定が難しくなる

    「女性/男性はこうあるべき」等のこだわりが強すぎると無意識のうちに選択肢を狭めてしまい、従業員が自分の能力や個性に合わせた選択がしづらくなります。

    ②決めつけによって人間関係に支障が出る

    「○○さんはこうだ」等のレッテル貼り、決めつけは人間関係に悪影響を及ぼします。また、お互いの解釈のずれがハラスメントのリスクにつながります。

    ③社内の人材活用に偏りが生まれる

    属性と役割が無意識に結びつくと、適材適所の配置や異動が難しくなります。人材の同質性の高まりは、意思決定の際の見落としを生むなどのリスクも指摘されています。

    • 女性にリーダーは難しい
    • 男性は一家の大黒柱だ
    アンコンシャス・バイアスに気づくと、属性とは関係なく、一人ひとりが異なる存在として、個性を尊重し合うことができます。
  • 組織の外部への影響

    ➀社会や顧客との信頼関係が崩れるリスクが高まる

    多様な顧客ニーズや社会の常識と、社内の常識がずれることで、信頼関係への悪影響や、偏った情報発信による炎上を引き起こす可能性が生じます。

    ②次世代の採用や機関投資家への影響

    多様性を重視する次世代や投資家にとって、同質性を重んじる組織や閉鎖的な意思決定文化を持つ組織は、魅力的な組織と見なされにくくなっています。

    ③企業間のコラボレーションやオープンイノベーションが起こりづらい

    自社の常識に強くこだわることで、多様な価値観や発想が歓迎されにくくなり、企業間での共創・協働が難しくなります。

    • うちの会社はずっとこうやってきた
    • わが社に限って炎上するはずがない
    アンコンシャス・バイアスへの感度が高まると、組織の柔軟性が高まり、変化に対応しやすくなります。

アンコンシャス・バイアスのコントロールのための3つのアプローチ

アンコンシャス・バイアスは誰しも持っているものなので、なくすことはできません。ただし、アンコンシャス・バイアスの存在を理解して、判断のタイミングを意識的にコントロールしたり、バイアスがあることを前提に、コミュニケーションや行動をデザインしたりすることで、バイアスの影響を少なくすることが可能です。

1:意思決定の観察と意識化

  • 個人でできることが、意思決定の「観察と意識化」です。自分がどんなときにバイアスに無自覚になってしまうのか、振り返ってみましょう。また、意思決定や発言をする前に、一度ブレーキをふむ意識をもつ、他に選択肢はないか考える、バイアスを上書きするような体験を増やすことを心がけましょう。

    • アンコンシャス・バイアスを学習する機会をつくる
    • 日々の言動の中にどんなバイアスがあるか観察する
    • バイアス日記をつけて、傾向を調べてみる
    • バイアスに逆らった意思決定や判断をしてみる

2:コミュニケーションのデザイン

  • 自分のバイアスを意識化できるのは、意思決定時の1割以下という専門家もいます。そのため、周囲の人から指摘してもらえる関係性を築くことが肝要です。オープンなコミュニケーション環境を整え、「対話」の機会を増やすと、バイアスを乗り越えて相互理解を深めやすくなります。

    • よく聞き、よく話す時間を意識的に取り入れる
    • 「自分はこう思う」と自己開示をする
    • フィードバックをもらう習慣をつくる
    • 異なる意見や少数意見を歓迎する

3:行動のデザイン

  • 意思決定やコミュニケーションを意識しても、バイアスの影響を取り除くには限界があります。そこで注目されているのが、行動経済学の知見を活かした行動デザインです。無意識のバイアスがあることを前提に仕組みを作る考え方は、ビジネスのみならず、社会課題の解決にも応用されています。

    • 履歴書から属性が判別できる情報を削除する
    • イベントの登壇者の男女比の偏りをなくす
    • 広報や発信物の登場人物に多様性をもたせる
    • 意思決定の多様化のためにクオーター制を導入する

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