朝起きても疲れが取れない――

最近そんな日が増えていませんか?

仕事も家事もがんばっているのに、気分が沈んだり、頭が重かったり。
病院で検査をしても「異常なし」と言われて、ほっとする反面、「じゃあこのつらさは何?」と不安になることもありますよね。

それは、不定愁訴(ふていしゅうそ)と呼ばれる状態かもしれません。

「原因が分からない」からといって、その不調を自分のせいにしなくて大丈夫。
日々の小さなストレスや環境の変化が重なり、カラダやココロのバランスが少し乱れているだけかもしれません。
そんなゆらぎは、誰にでも訪れるものです。

今回は、
・不定愁訴が起こるしくみ
・不定愁訴と深く関わる、自律神経の乱れ
・自分の内にある“不定愁訴サイン”に気づく方法
・今日からできる小さな対策
をやさしく整理していきます。
 
「なんとなく不調」は、もしかしたら“小さな乱れ”の積み重ねかも
不定愁訴とは、検査では異常がないのに、身心に不調が続く状態のことです。
頭痛、めまい、肩こり、動悸、腹痛、便秘、下痢、冷え……
そんな症状に悩まされ、時にはいくつも重なってあらわれることも。

原因はひとつではなく、ストレスや生活リズムの乱れ、ホルモンバランスの乱れ、気候など、いくつかの要素が絡み合って起こることが多いと考えられています。

不定愁訴を引き起こすと考えられている要因例 

参考文献:一般社団法人日本臨床内科医会、わかりやすい病気のはなしシリーズ19、自律神経失調症、
厚生労働省、働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトこころの耳、専門家向けお役立ちトピックス~メンタルヘルス不調関連~No.5 身体症状に着目したストレス反応 
こうした要因は誰にでも起こりうるものです。
そのため、不定愁訴はどの年代でもあらわれる可能性がありますが、ライフステージや働き方・キャリアプランによって、身心の変化やストレス要因が異なるため、不調があらわれやすい場面は個人差があります。

なかでも、30~40代にかけては
・女性ホルモンの変動が大きくなる
・ライフステージの変化による役割が重なりやすい
・働く環境の変化や役割が増えやすい

といった背景から、生活リズムが整いにくく、カラダやココロの不調を抱えやすい時期と言えます。
オン/オフの切り替え役、自律神経のバランスが乱れると?
自律神経の乱れも、不定愁訴の原因の一つと考えられています。
自律神経とは、体温調節や呼吸、消化、排泄など、生命を維持するための機能を自動で整えてくれる仕組みのことです。
交感神経(活動モード)と副交感神経(リラックスモード)の2種類があり、お互いが協力し合うことで身心のバランスが保たれています。
ところが、ストレスや生活リズムの乱れなど、外部からの強い刺激、もしくは継続した刺激を受けると、交感神経が優位になり、 副交感神経とのバランスが乱れがちに。
その結果、眠れない・動悸がする・イライラや不安など、 カラダにもココロにも「疲れのサイン」があらわれやすくなります。

ストレス刺激に対する自律神経のはたらき

参考文献:一般社団法人日本臨床内科医会、わかりやすい病気のはなしシリーズ19、自律神経失調症、
厚生労働省、働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトこころの耳、専門家向けお役立ちトピックス~メンタルヘルス不調関連~No.5 身体症状に着目したストレス反応、
厚生労働省、働く女性の心とからだの応援サイト、専門家コラム、ストレスとは
日常生活に支障をきたすほどの不調が続く場合は、早めに病院(婦人科や総合診療科)を受診しましょう。
がんばる毎日に潜む“見えない不調”。まずは自分の声に耳を澄ませて
不定愁訴は、原因がわからないため 「気のせいかな」「もう少しがんばれば……」と無理をしてしまうことがあります。

ちょっとした不調が積み重なると、
・集中力が続かない
・判断力が鈍る
・コミュニケーションに疲れる
・休んでも罪悪感がある
など、仕事で過度な緊張をしたり、日常でも気分のムラが増えたり、その結果自分を責めることも。
 がんばり屋さんほど、知らないうちに疲れをため込みやすいもの。
「不調はカラダとココロからのSOS」と考え、自分の内からの声にならない声に耳を傾けてみてください。

自分の声を受け止めるために、まずは、“自分のいつものリズム”を観察する時間をつくってみましょう。
自分の体調を「良い/悪い」で決めつけず、その日のことを“感じたまま”記録してみてください。
記録することで、見過ごしていたサインが見えてきます。手書きでも、アプリを使用しても大丈夫です。

カラダとココロの声を聴く私のリズムメモ

「うまくいかなかった自分」を責めるのではなく、「今日の私はどうだったかな?」と観察する気持ちで取り組んでみてください。

 「なんでだろう?」と原因を急いで探すよりも、 “変化に気づく力”を育てることが、整えるためのはじまり。
 少しずつ、自分の声を聴く習慣をつくってみましょう。
今日から少しずつ、“不調”を整える5つのヒント
不調を整えるための第一歩は、「生活リズム」を見直すことです。
生活リズムとは、睡眠・食事・活動・休息などの1日の流れが一定の周期で繰り返されること。私たちの体には「生体リズム(体内時計)」があり、この体のリズムと日々の生活をできるだけ一致させることで、身心のバランスが整いやすくなります。

生活リズムを整えるためのレシピ

参考文献:社会福祉法人恩賜財団済生会、心と身体がしんどい原因は、自律神経?!、
東京都産業労働局、女性特有の健康課題を知る、学ぶ!働く女性のウェルネル向上委員会、病気ではないけれど快調でもない“なんとなく不調”。
女性に多い「不定愁訴」への対処法は?、
一般社団法人日本女性心身医学会、女性の病気について、自律神経失調症、
厚生労働省、健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~、生活習慣病などの情報 休養・こころの健康、
厚生労働省、「食事バランスガイド」について、
厚生労働省、成人版アクティブガイド―健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023―
完璧を目指さず、“できることをひとつだけ”取り入れることから。
少しずつリズムを整えていきましょう。
不定愁訴は「気のせい」でも「心が弱い」わけでもありません。
カラダとココロが「少し立ち止まろう」と伝えてくれている合図です。
我慢ではなく、
 “見つめる・気づく・整える”
をキーワードに、 小さな一歩を重ねていきましょう。
明日のあなたが、きっと少し軽くなります。

次回は、
誰にでも訪れる、”ゆらぎのとき”
そんな「更年期症状」についてお話しします。



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参考文献・サイト:
01.東京都産業労働局、女性特有の健康課題を知る、学ぶ!働く女性のウェルネル向上委員会、病気ではないけれど快調でもない“なんとなく不調”。
女性に多い「不定愁訴」への対処法は?、
02.社会福祉法人恩賜財団済生会、心と身体がしんどい原因は、自律神経?!、
03.一般社団法人日本女性心身医学会、女性の病気について、自律神経失調症、
04.一般社団法人日本臨床内科医会、わかりやすい病気のはなしシリーズ19、自律神経失調症、
05.厚生労働省、働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトこころの耳、不定愁訴、
06.厚生労働省、働く人のメンタルヘルス・ポータルサイトこころの耳、専門家向けお役立ちトピックス~メンタルヘルス不調関連~No.5 身体症状に着目したストレス反応、
07.厚生労働省、働く女性の心とからだの応援サイト、専門家コラム、ストレスとは、
08.厚生労働省、健康日本21アクション支援システム~健康づくりサポートネット~、生活習慣病などの情報 休養・こころの健康、
09.厚生労働省、「食事バランスガイド」について、
10.厚生労働省、成人版アクティブガイド―健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023―、
11.特定非営利活動法人日本成人病予防協会、ストレスについて、体との関係
問い合わせ先
「働く女性の健康を守る事業」事務局(一般財団法人ウェルネスサポートLab)
メール:workwell.f@wellsuppo.or.jp
電話:092-231-9762
主催
福岡県人づくり・県民生活部女性活躍推進課

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