抱えていた課題

動物病院業界では、一般的に長時間勤務、重労働、人手不足、低賃金などの理由により女性従業員の就業継続が難しい状況で、当院でもなかなか人材育成ができていませんでした。

取組とその成果

裁量権を与え自己研鑽の機会を提供
『ASAP動物病院』は、近年、CTや超音波診断装置を導入し、高度な獣医療サービスを提供しているが、性別にかかわらず、より高度な技術力と専門知識を持つ従業員の育成とチームづくりに注力している。
 従業員に診療技術の向上などの目標を持たせるとともに、業務内容や勤務シフトについての裁量権を与え、積極的に自己研鑽の機会を提供。また、技術向上に必要な学会などへの参加費用は基本的に会社負担である。さらに、獣医診療を補助する「動物看護師」は獣医師との上下関係ではない専門職として育成している。
 また、管理職のトップには子育て中の女性動物看護師を抜擢した。顧客満足度の向上には女性従業員の育児経験が生かせると考えられ、彼女はロールモデルとして期待されている。
出産後も働き続けられる職場環境
病院内装
 一般的に動物病院は獣医師と少人数の助手という最低人員での経営が多く、また勤務が長時間にわたるなど、仕事と家庭の両立が難しいことから、妊娠・出産を理由に退職せざるを得ない女性は多い。
 そこで同院は、夜9時までの診療を実施する一方、ワークライフバランスを確保し、女性でも無理なく就業を継続できる職場環境を目指して、雇用や規模を拡大し、勤務時間の2交代制を開始した。その結果、休日の確保や長時間労働の減少により、出産後の女性従業員の就業継続につながった。
 先述の積極的な自己研鑽への支援など、育成の取組とも合わせて、顧客の要望に応える質の高い獣医療の提供ができるようになっている。

トップの思いを伺いました

副院長・獣医師 山口 明子氏
社風・理念を従業員と共有することが大切だと思っています。その上で、従業員をしっかり育成するため、権限を持たせ、従業員自ら迅速に問題が解決できる自立した組織づくりをしています。「夢が叶う職場」を目指し、毎年経営指針に従業員の夢も掲載します。引き続き従業員の就業継続に取り組み、夢が意欲となり、より能力が発揮できる職場にしたいと思っています。 (副院長 山口 明子氏)

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