抱えていた課題

 製菓の製造現場は体力的に過酷な労働環境でもあり、結婚を機に退職するスタッフが多くいました。また、女性の従業員が多いにも関わらず、女性の発言力が弱く、女性の声が経営に届いていない現状がありました。
 

取組とその成果

設備・制度面 両面からの女性従業員フォロー
 大正8年から100年間もの間、菓子づくりを追求し続けている「有限会社 一柳」。菓子づくりは華やかなイメージとは裏腹に、「砂糖や小麦粉など重い材料を持つ」「オーブン室等酷暑での作業」など体力的にも過酷な現場だ。そのような状況を少しでも改善するため、設備面での改善に取り組んだ。具体的には、「粉振機や割卵機など機械の導入」、「作業台の低床化」、「砂糖1袋あたりの軽量化(35kgから20kg)」「スポットクーラーの設置」などである。こうした取組により作業の体力的負担を軽減することができ、男女とも様々なセクションを経験することが可能となり、効果的な人材育成につながっているという。
 また、育児休業取得の奨励など制度面における女性従業員のフォローも実施しており、2011年頃からは毎年2~3名が育児休業を取得し、就業継続に繋がっている。また、「授業参観」「PTA活動」といった学校行事への参加についても、休暇の事前申請を行い調整することで、職場内で協力する体制が出来ている。勤務調整をしてもらった経験がある従業員も多く、お互い様という雰囲気が醸成されているという。
女性管理職の登用推進
有限会社一柳
 菓子の製造販売を行っている一柳では、女性の生活者としての視点や感性を大切にしている。女性の意見を商品開発や販売において活かしていくために、積極的に女性を管理職に登用し、現在は管理職の約60%が女性となった。
 設備面での改善や女性登用を進め、男女が対等なパートナーとして働ける環境を整備することで、積極的にキャリアを積むスタッフが多くなった。また、様々な職場で経験を積ませることが出来るようになったことで、多くの従業員から改善・改革のアイデアや意見が積極的にでるなど、主体的な働き方につながっている。

トップの思いを伺いました

専務取締役 納富 輝子氏
専務取締役 納富 輝子氏
 世の中の男女比はほぼ同数であり、それならばあらゆる意思決定の場面において男性女性が平等に意思決定出来る社会の実現が望まれます。残念なことに日本のジェンダ―ギャップ指数は149ヶ国中まだ110位(2018年)と、まだまだ女性の企業管理職などが少なことが実情です。中小企業から声を上げて、男女平等な社会の実現に向かいたいものです。

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