抱えていた課題

 離職率が高いことが課題でした。継続的に人材育成を行い、想いのある従業員は長く働ける環境を整備したいと考えていました。特に離職率が高い女性従業員に着目し、女性従業員の定着率向上に向けて取組を行いました。

取組とその成果

あらゆる方向から女性活躍推進に取り組む
 不動産の賃貸管理業を中心に、幅広い事業を展開している不動産中央情報センター。同社は、2009年に北九州市ワークライフバランス表彰奨励賞、2010年に福岡県男女共同参画表彰企業賞等、数多くの表彰を受賞し、受賞後も女性活躍推進に継続的に取り組んでいる。
 代表取締役の濱村氏は、阪神・淡路大震災やタイでのボランティアの経験から、人生のベースは愛情であり、「人をどれだけ深く想いやることが出来るか」が生きていく上での逞しさに繋がると実感。従業員にお客様のことを真剣に考えてもらうためには、まずは会社が従業員を信頼し、大切にしなければならない。そのような思いで、2007年の代表就任当初から、多様な人材が個性を活かして活躍できる会社を目指している。
 代表就任前は、業績重視のハードな労働環境のため、従業員の離職率が高かった。特に女性従業員の離職率が高く、まずは女性が長く働ける職場環境の整備を切り口として、取組を進めていった。
 1週間連続のリフレッシュ休暇、家族の記念日に取得できるアニバーサリー休暇、育児休業からの復帰前に月に数日間勤務を行う「復帰トレーニング」等の制度を整備した。
 制度だけではなく、女性従業員による女性活躍推進プロジェクトを立ち上げた。外部研修への従業員の参加、仕事と子育てを両立する部下を持つ上司向けのセミナー開催等、多数の取組がプロジェクトの発案で実行されている。
 さらに、女性従業員に経験を積ませることも積極的に行っている。年に1回の経営計画発表会を敢えて女性だけで企画・運営するという試みや、地域貢献の一環として同社が主催している北九州女性異業種交流会へ積極的に参加させる等、あらゆる方向から女性活躍推進に取り組んでいる。
積極的な取組が大きな効果を生む
職場風景
 こうした取組を、10年以上前から継続した結果、育児休業から復職して退職した従業員はおらず、離職率は大きく改善した。それだけではなく、部署をまたいだ連携の増加、新人教育への積極的な関与等、男女関係なく助け合いながら業務を行う風土が醸成されてきた、と濱村氏は言う。
 以前は、育児休業から復帰した女性従業員は、管理職の男性から敬遠されがちであった。しかし、現在は、是非メンバーに迎え入れたいという要望が総務人事課にも多数入るようになった。
 仕事と子育てを両立している社員は、「大変なこともありますが、仕事と子育ての両方を充実させることが、相乗効果を生み、いきいきと働くことに繋がっていると感じます。また、自身が子育てをしているからこそ、お客様が必要とされている情報が分かり、仕事に活きている部分も多くあります。社会と接点を持ち、社会に貢献していると実感できるので、復職してよかったです。会社の制度や職場の上司・同僚に感謝をしつつ、次の世代にうまくバトンタッチできるようにしていきたいです。」と充実した表情で語った。

トップの思いを伺いました

代表取締役社長 濱村 美和 氏 
 経営方針のひとつが「生涯顧客」です。一度ご縁を頂いたお客様と一生のお付き合いをさせて頂くことを目標としています。その為、「人財」は重要であり、「人財」の成長が企業の成長へとつながります。
 弊社従業員には、仕事やお客様との出逢いを通じて、自分の土台をしっかりと築き、「正解のない時代」「人生100年時代」を生き抜く力を身につけて欲しいと考えています。性別や年代に捉われず、様々なことに挑戦し、一度しかない人生をしなやかに生きていって欲しいと願っています。

一覧へ戻る